Product &
Technology

24GHz帯マイクロ波ドップラーモジュールを使用した非接触型バイタル感知技術を共同開発。幅広い分野での活用に期待。

電子部品・電子機器の貿易商社 M社様 非接触バイタルセンサー

民生機器

開発データ

製品分類
民生機器
クライアント様業種
電子部品の卸売業・小売業
当社提供サービス
設計・開発/製造
開発内容
小型24GHz帯マイクロ波ドップラー方式センサーモジュールの共同開発

開発の背景

非接触バイタルセンサーの小型化・軽量化、
さらにドップラーモジュールの開発へ

当社では、電子部品・電子機器の貿易商社 M社様からご依頼をいただき、数年前より「非接触バイタルセンサー」の設計・製造に携わっています。非接触バイタルセンサーは、非接触で体の動きや呼吸、脈拍を検知できるセンサーで、電波で人体の動きを感知するため、光や音で感知するセンサーよりも妨害を受けることなくデータを取得することが可能です。少子高齢化に伴う様々な課題を抱える医療・介護の現場において、サービス向上や介助者の負担軽減が期待でき、医療機関や介護事業者からの受注は年々増えています。

最初にご依頼いただいたのは、部屋全体で人の動きを検出するルームセンサーと、マットレスや布団の下に挟んで感知するベッドセンサーの設計と製造。それまで他社が製造された製品を扱われていましたが、より小型で薄型に改良してほしいとの要望を受け、当社が設計段階から携わり改良を重ねていきました。

非接触バイタルセンサー ベッドセンサー(左)とルームセンサー(右)

そうしたなか、これまでセンサーの中に入れる基板(ドップラーモジュール)を製造していた会社がその製造を終了。これを受け、ドップラーモジュールの供給についてもM社様からご相談があり、当社が設計・開発から製造まで携わることになりました。

開発ストーリー

無線技術を活かしたノイズが少ないドップラーモジュールの開発

バイタルセンサーには、電波の周波数が物体に当たって跳ね返ってくる反射波を感知するドップラー効果を利用した基板(ドップラーモジュール)を使用しています。人の動きを感知するには24GHzの周波数帯が適しており、当社は周波数帯が同じレーダー探知機の開発で蓄積した技術を生かすことができました。

一番難しく、現在も改良を続けているのがドップラーモジュールの設計です。マイクロ波回路の設計・解析シミュレーションを使ってパソコン上で試し、出来上がってからも高周波用の計測器を使ってきちんと設計通りに動くかを調べます。今の時代、ICチップで簡単に組み込んで作ることができると思いがちですが、当社は無線技術で得た経験から一からものづくりをしていきます。モジュールの中のアンテナを組む際も24GHzの周波数に合わせたアンテナを、どのように並べ、繋げるかもノウハウが必要です。

どれだけノイズ、つまり、本来感知したい電波以外のものを誤認識しないかが大切です。そのためには外的要因だけでなく、回路自体にもノイズを自発させない設計力が求められます。外装サイズに合わせた設計や感度の調整をするためにアンテナの調整、ノイズの改良など、様々な条件に自在に対応します。「ないなら作る」。無線技術を何度も応用して新たな製品を生んできた当社だから言えることです。

今後の展望

幅広い分野で利用できる可能性を秘めたドップラーモジュール

M社様と共同開発した非接触バイタルセンサーは、呼吸はみぞおちの凹凸、脈は体表の静脈の血管の凹凸が混ざったものを感知しています。ベッドセンサーとルームセンサーともに最大検出距離が2.5mで、非接触で人の活動量や体の状態を知ることができます。そこで得た脈や呼吸の値をクラウドサーバーに吸い上げてAIで分析し、ビッグデータ化するといろいろなバイタルデータの知見を得ることができます。

このドップラー効果とマイクロ波の特徴を組み合わせることで、非接触でバイタルサイン(心拍数、呼吸数、血流など)を測定できるドップラーモジュール。サイズも29×47×7mmの小型化しており、幅広い分野で利用してもらえると信じています。

例えば、自動車(人感センサー、障害物感知、居眠り防止、死角監視)、医療・介護(離床管理、生体情報監視、睡眠障害監視、メンタルケア)、商業設備(自動化による節電、非接触スイッチ)、災害救助(人命捜索)、安全(ホームセキュリティー、車内監視、警報装置)、トレーニング・ヘルスケア(心拍計測、疲労測定)、など。これからの人の暮らしをそばで支えてくれると思っています。

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